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01

Title:SONOMONO
Date:2017
Matelial:sv950、アクリル板

文字を用いた最初の自主制作ジュエリー作品。

アイテム名をそのままデザインにしており、明確な意味を持ちながら、装飾的な表現としても使用される——そんな文字の特性に面白さを感じ制作しました。背景にある長方形の集合体はデザインの過程で構成されたレタリング枠です。当時、デザイン専用ソフトの使い方が分からず、Wordでデザインを作成したことで偶然生まれた形状です。アクリル板を使用したのは当時の助手の方の影響で、後の作品にも反映されています。

幼少期から言葉や文字に興味があり、高校2年時の平面作品で初めてデザインとして作品に使用しました。その後、学部1年時(2015)の透かし彫りの課題で、蛙がお腹側を向けた図案に先生から「お腹の余白部分に何か模様を足したらどうか?」と言われ、即興で描くことが苦手な私が思いついたのは「蛙・カエル・FROG」を模様にして入れるというアイデアでした(作品タイトル『胃の中の蛙』)。この出来事が、無意識のうちに文字・言葉への興味を再燃させるきっかけになっていた気がします。​​

​Work Description  作品解説

Title:paradox
Date:2017
Matelial:sv950、ポリエステル、電着塗装

02

私たちはジュエリーを着用するとき鏡を見る、そのとき鏡には反転したもう一人の自分が映る——その光景から発想を得て生まれた作品です。これらのジュエリーは、誰しも抱いたことがあるであろう表裏の感情を文字で可視化した作品です。各作品ごとに異なる二つの感情があり、表側の感情はそのまま読むことが出来ますが、もう一方の感情は鏡文字になっています。このジュエリーを着用して鏡を見たとき、裏返っていた文字が正転し、他者には見えない裏の感情や自分でも気づいていなかった隠れた感情が見えてきます。どちらの面を表にして着用するかによって、思い浮かぶシーンが変わります。

ジュエリーの持つ特徴——コミュニケーションツールとしての側面、基本的に表(他者が見ることができる面)と裏(着用者しか見られない面)がある——や、鏡が人に与える精神的な作用(自己と向き合う)もアイデアのもとになっています。​​

03

Title:doxa
Date:2018
Matelial:アクリル板、アルミニウム

人が他者に無意識に抱く思い込みをテーマとしています。誰しも本音とは異なるメッセージを発したり、他者に対して先入観をもった解釈をしたりすることがあります。ただ、それは必ずしも事実と一致しているとは限りません。作品には人に対する印象を表した、意味が異なる二つの言葉を配置しています。一つは簡単に読み取れますが、もう一つは、側面にある・作品を着用したときに視線を下に落とすと見える・透明のアクリル板に潜んでいる、など作品を見る角度や視点を変えることで見えてきます。しっかり見ようとすれば見えるのに気づかない——その行動を文字のジュエリーで可視化させることで、皮肉的な意味合いも含めています。

作品の造形表現を広げるという当初の目的から、板を重ね立体的な構造にしたことでアイデアが広がった作品です。​​

Title:Smile?
Date:2019
Matelial:アクリル板、アルミニウム

04

大学院入試の面接で、面接官の先生から「絵文字も、文字だよね。」と投げかけられ、あぁ、確かに!と私の目から鱗が落ちた瞬間がきっかけでした。絵文字なんて日常的に使用していたのに、その存在を完全に見過ごしていたことに気づきます。

絵文字のシンボリックな性質に着目し、イメージの具体化を図ることにしました。絵文字は一目で、文字だけでは伝えられない感情や表情を相手に伝えることができます。絵文字の中でも、笑顔(口角をあげている、目がニコニコしている)の絵文字はよく見かける印象があり、「笑顔」は対面での人間関係でも頻繁に出てくる表情です。誰もが知る、笑顔を表すスマイルマークはポジティブな意味でよく使用されます。しかし、現実の私たちは決して純粋な、ポジティブな意味だけではなく、様々な笑顔を使い分けています。リアルな人での左右対称の整った笑顔は、意識的に作る「つくり笑い」であることが多いと思います。この左右対称の笑顔をアイコンとし、文字(言葉)に形を与えることで、表層的な意味とは異なるメッセージを含ませた作品です。​​

05

Title:表裏一体
Date:2019、2021 - 22
Matelial:アクリル板、ポリエステル

​Work Description  作品解説

このシリーズの最初の作品を制作する2年前(2017)、母に当時思案中の作品の話をしたときに教えてもらった言葉——「万物斉同」...人の相対的な知を否定した荘子の思想——がコンセプトのもとになっています。そのときは反映出来なかったのですが、頭の片隅にずっと置いていました。ここから2年後(2019)、当時読んでいたヒーロー漫画の中で、登場人物たちがヒーローとその敵という立場関係なくそれぞれの正義のもと自分たちは善、仲間を傷つける者や目的達成の邪魔をする者は倒すべき敵である、という思想を持って行動する姿を読者という俯瞰の立場で見ていたとき、正義とは?...と、ふと「万物斉同」を思い出し最初の作品(善と悪)が誕生しました。実は白黒はっきりしていない、境界線が曖昧なもののほうが私たちの日常には多い気がします。

間の一枚板を挟んで文字以外の全て(表情、色、フォント、文字の配置)が逆転しています。一面だけで判断せず両面を知ることで初めて俯瞰で見ることができるのではないでしょうか。​​

Title:Keep hope alive
Date:2023 - 24
Matelial:アクリル板、アルミニウム

06

一見、全て同じ形をした作品ですが、よく見るとそれぞれ異なるモチーフであることに気づきます。同じ形にするという発想は『ジュエリーのアカ展』がきっかけで、「アカ=赤=炎、新芽」が最初にイメージとして出てきたとき、炎と新芽は似たシルエットであることに気づきました。この時期は特にコロナのパンデミックに始まり、心に影を落とす大きな出来事が世界中で続いていた状況の中で、私たちはいつかまた、きっと——と希望を持ち続けていました。このときの心情と、同じ形を持ち温かさや生命を感じる炎と新芽が繋がり、誕生した作品です。

「希望」から連想した言葉やイメージの中から炎や新芽と共通するシルエットになるモチーフを選び、その形を「希望の象徴」としました。一枚一枚、手作業で刻まれ、積み重ねられた希望の言葉は、不安の中で自身に向き合い蓄積してきた、心の強さを表現しています。「希望の光」という言葉があるように、作品を光にかざすことで『KEEP HOPE ALIVE = 希望を持ち続けて』という言葉が浮かび上がります。​​

Kako Shimoonoda

​下小野田 夏子

​Biography

2021 神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科総合アート&デザイン専攻

    修士課程修了

2021- 京都を拠点に活動中、ジュエリーブランドKOHKOHに携わる。

2019 2019伊丹国際クラフト展“ジュエリー” / 奨励賞(光陽社賞)

2019 NYC Jewelry week(Charon Kransen Arts) , アメリカ

2021 Go into the PUBLIC Mobile gallery by Masaya Sawada +

    Japanese artists from far east (Het Labo atrium) , 東京

2022 コンテンポラリージュエリー展“ペンダント” / 入選

2022 下小野田夏子 個展(gallery C.A.J) , 京都

2023 Munich Jewellery Week / ATTA gallery @ FRANE2023 (IHM

    International Handwerksmesse) , ドイツ

2023 Study: 大阪関西国際芸術祭 vol.3「身に着ける芸術 コンテンポラ

    リー・ジュエリー」(グランフロント大阪) , 大阪

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